ITの世界はめまぐるしく進歩し続けていますが、その影響は医療業界でも起こっています。特に、日本においては少子高齢化が進んでいるため、将来的に高齢の患者が増える一方で、それを支える看護師をはじめとする医療従事者はますます減少していくことが予想されます。
そのような状況において、人手を補うためにコンピューターによって制御された医療ロボットなどが医師や看護師に代わって医療に従事するようになることは想像に難くありません。これは、看護師の仕事がロボットに奪われるということではなく、患者の検温やカルテの保存といったマニュアル作業についてはロボットに任せ、より高度な看護サービスに集中できるようになるというメリットがあります。
医療用ロボットが普及するようになると、看護師の役割はもっぱら患者に寄り添ってその支えになるということに集約されていくはずです。なぜなら、それこそがロボットによって代替できない人間的な仕事であるからです。例えば、治療の甲斐なく終末期になり食事がとれなくなってしまった患者に対して、少しでも精神的な安らぎを得てもらおうと病室内にアロマを焚くといった心配りは、長年の経験によってそのような患者に多く接してきた看護師ならではの熟練の技であるといえるでしょう。
また、患者の身体を触ったり、表情の変化や体臭を嗅いでみて異常を探知するというのも、機械には難しいタスクです。こういったことも、常日頃から患者と密接に接している看護師だからこそできる人間的な業務であるといえるでしょう。